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2026FOSS4G 2026 speaker 広島 talk
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どのプロジェクトも、ひとつの依頼から始まる。「住民が自分で避難ルートを立てられるように」「うちには良い 3D 都市データがある。でも……これは結局、何のためのものなのか」「高校生に自分のまちを知ってほしい」。なぜ?と一歩踏み込むと見えてくる。ルートだけが欲しいなら、OpenStreetMap と OSRM が何年も前に解決している——足りていなかったのは、自分の住む場所への理解だった。私は GIS をデザインしているつもりだった。人々が求めていたのは、理解だった。

3 つの物語を話した。洪水の話:まず自分の場所を知る。それから避難をゲームにする——現実では避難のチャンスは一度きりだが、ゲームなら百回失敗できる。花火の話:データも技術も何ひとつ変わっていない。「このデータは何の役に立つのか」という問いを「花火はどこから見えるのか」に替えただけで、日当たり、騒音、風と、次の問いが勝手に並びはじめた。教室の話:熊谷の高校生たちが、ひとつの午後で自分のまちに自分の建物を建てた——あれは理解だったのか? 正直、わからない。

三十年住んだ人は、どの家が頑丈で、どの隣人がドアを開けてくれるかを知っている。データは、1 m の高低差と、最大浸水深と、水が届くまでの時間を知っている。教えられるより、目で見るほうがいい。目で見るより、自分で試すほうがいい。情報は「何が起きたかを知っている」。理解は「なぜかを知っている」。エージェンシーは「自分で判断できる」。

登壇の 2 週間前、私の住む柏でレベル 4 の避難警報が出た。近くの橋の水位計は 4 m 近くまで来ていた。あのとき、はっきりわかった。地理空間プロダクトの役割は、人に答えを渡すことではない。人が自分の世界の仕組みを自分で発見できる、その条件をつくることだ。家の前の通りは、地球全体への入口になる——玄関先の暑さから、年々暑くなる自分の街へ、そして三十年前より暖かい海へ。私たちはデータとデータをつなぐインフラを作ってきた。そろそろ、人と地球をつなぐインフラを作る番かもしれない。

Build it for my neighbor.